「メイド服のセス」のおまけ1



「刑事さーん、コーヒー持って来ました。開けてください」

自分の分と刑事さんの分。
両手が塞がっているせいでノックができず、中で待っている刑事さんに声をかけた。
程なくグレイ・ミュージアムと書かれたドアが開けられる。
刑事さんは僕を見た瞬間、嫌そうに眉を顰めた。

「げ、お前またそんなカッコしてんのかよ」
「前回と同じ反応ですね。本当に失礼な人だ。店長が気に入っちゃったんです」
「だからっていちいち付き合う必要ねぇだろ」
「いちいち断る必要もないでしょう。……ちょっとは褒めたりとか出来ないんですか」

そんな態度ばかり取られるとさすがに悲しくなりますと付け加えながら、コーヒーを机に置く。
刑事さんはしばらく黙り込んだ後、渋々と口を開いた。

「……可愛い、けど、他の男に足見せるな」
「よくできました」
「うるせ」
「ほら、ちゃんと少し長めにしてもらったんですよ」

裾を持ってひらひらと遊ばせる。
刑事さんが慌てて止めた。

「早くしまえ!……って、あれ?セス、そこ穴開いてねぇか?」
「あ、本当ですね。穿き替えないと」
「ついでに服ごと着替えて来い」
「そうもいかないんですよ」

刑事さんに指差されたところを確認すると、確かに太ももの内側に白い線が走っていた。
黒のストッキングだから肌が見えてる部分がかなり目立つ。
新しいのを貰わないと。

「なぁ、セス。ソレ、穿き替えるってことは捨てるんだよな?」
「取っておいても仕方が無いでしょう」
「じゃあ破ってもいいか?」

普段と全く同じ口調で言われて理解が遅れた。
この人はたまに本当に予想外の行動を取るから困る。

「なんと言いますか……そういう趣味だったんですか」
「違ぇ!単に面白そうと思っただけだ!」

刑事さんが顔を真っ赤にして否定する。
指摘されてようやく自分のセリフの意味に気付いたらしい。
刑事さんだからどうせそんな事だろうと思っていたけど、まだ驚きが収まらない。

「……どちらかと言うと子どもの心理のようですね」
「どっちでもねぇよ」
「まぁまぁ、そんなに怒らないでください。いいですよ、はい」

口を尖らせる刑事さんを笑いながら宥める。
少し踵を捻りながら、刑事さんに見えやすいように足を開いた。

「いや、脱いでからで」
「ふぅん。僕には興味ないってことですか」
「だって」
「どうぞ?」

ほつれた箇所に指を掛けて広げながら、もう一度刑事さんを呼ぶ。
刑事さんの喉が鳴り、ゆっくりと手が伸ばされた。
触れられた瞬間に身体が跳ねそうになるのを必死に抑える。

「ん…その体勢じゃ見えにくいでしょう?」

腕を掴んで下に引くと、刑事さんは促されるままに膝をついた。
身に着けているものが引き裂かれていく奇妙な感覚にぞくぞくする。
薄い布地越しに肌を吸われた。
舌が内腿を伝って昇ってくる。

「は…ぁ…」

敏感なところを舐められて思わず声が漏れた。
刑事さんが弾かれたように僕から離れる。

「あーもう!だから我慢できなくなるって思ったからイヤだったのに!」
「だからこのままどうぞって言ったんですよ」
「……わざとか」
「当然じゃないですか」
「もう止まんねぇからな」

頭を抱える刑事さんに答えると、壁に手をつくように後ろを向かされた。
ビリビリになったストッキングを下着ごと摺り下ろされる。
スカートをめくり上げられると、ソコに顔を寄せられ、舌と指で性急に解された。

「あっ…あぁっ…刑事さ、この服…汚すと」
「知らねぇ」
「――あぁあっ!」

一気に奥まで捩じ込まれて目の前が真っ白になる。
そのまま何度も激しく突き上げられる。
同時に前も弄られて、あっという間に追い詰められた。

「も…ムリ…イく…っ!」
「オレも」

うなじにキスを落とされると一際強く前を擦られる。
その刺激で刑事さんの手の中に放ちながら、注がれる熱にこれ以上ないほど満たされていった。