服を脱ぐのも脱がせるのももどかしく裸になる。
触れたい。
もっと触れたい。
頭のてっぺんから足の先まで全部。
全部オレのものにしてしまいたい。
布越しではない直に伝わる体温はそのまま幸せに変換される。
これ以上ないと思っても、思っても、触れるたびに喜びが大きくなる。

「アラゴさん…もっと触ってください」
「あぁ、触らせろ。そんで、セスもオレを触ってくれ」
「はい」

触れてないところなど無いようにお互いの全身を撫で合う。
手のひらで輪郭をなぞるだけの、けれどとても興奮する行為。
さらさらとしていた肌が段々汗ばんできた。
首筋に顏を近づけるとセスの匂いがする。
舐めるとセスの味がした。

「んっ…！」
「ん？」

漏れた声に視線を上げると瞳を潤ませながらこちらを見ているセスと目が合い、それが合図だったかのように深く深く唇を合わせる。
息継ぎの一瞬ですら離れるのが惜しい。
べとべとになった口もとから溢れた唾液を追うように首から胸へ舌を滑らせた。
徐々に降りていくと角度がきつくなってきたので、一度体を起こしベッドの下の方に移動する。
両膝を持って足を開かせると白くて綺麗な内腿が顕わになった。
少し強く吸うと鮮やかに残る赤い印。
跡をつけるたびにセスが小さく声をあげるのが可愛くて何度も繰り返す。
ここなら外からは見えないし存分にオレの証を残しても良いだろう。
両手じゃ足りないくらいの印をつけて、それから起ちあがっているセス自身に唇をあてた。
横から舌を這わせる。咥えて口の中で全体を味わってから、根元から一気に舐めあげる。
セスはその間ずっとオレの頭に手を伸ばし、髪を強く握っていた。
ああ、こういうのもいいな。
頭を撫でられてるみたいで気持ちいい。
同時に、必死に縋りつかれているようで確かに求められていることを感じる。

「あっ…アラゴ、さん…僕、も…っ」
「なに？」
「僕にも…させて、ください…っ」

まいった。降参だ。そんな真っ赤な顔で言われて断われるはずがない。
セスの求めに従ってお互いが逆さまになるような位置に変えると、蕩けるような柔らかい温かさに包まれた。
快感なんてもんじゃない。オレのモノがセスの口のなかにあるというだけで達してしまいそうだ。

「ん、んんっ…」
「はぁっ…んぅ…っ」

一心不乱にお互いのモノを舐め合う。
静かな部屋に時折漏れるくぐもった声とぴちゃぴちゃという水音だけが響く。
咥えながら手で根元を刺激してやると、口のなかでセスのモノがびくびくと震えた。
頃合いをみて、唾液まみれになり濡らす手間が省けた自分の指をセスの後ろに入れる。

「んんっ！？」

驚きにセスの口の動きが止まる。
指一本でも充分にきつく熱くて狭い。
本当にこんなところにオレのが入るのか？
確かめるように内壁を押しながら指をゆっくり回すと、ある一点にきたときセスの身体が大きく跳ねた。

「ああッ！？」

思わずという体でオレのモノから口を離し、後はただ途切れ途切れの声をあげるだけで精一杯なようだった。

「あ！はぁっ…あっ！…うあ…ああっ！」

オレが与える行為でこんなにも感じている姿が愛おしくてたまらない。
もっとその声を聞きたくてそこだけを攻め続ける。

「いい声」
「アラゴさん…ダメ、もう…で…あああッ…！」

ひと際高い声とともに熱い液体がオレの口に出された。
全て受け止めるとそのまま飲みほす。
美味くはないがセスが出したものが自分の中を通りぬけていると思うとそれだけで身体が熱くなる。
ぐったりと脱力したまま、セスが掠れた声で呟いた。

「はぁ…っ…アラゴさん…ずるい…」
「わりぃ、我慢できなくて」
「いいです…けど…次は一緒に…」
「ん。そうだな」
「僕だって…アラゴさんを…気持ちよくしたいんですから」

息も絶え絶えな状態で喘ぐ姿がオレをひどく煽った。

「ねぇ…アラゴさん…もう入れてください…」

セスの小さな手で撫でられながら催促され、オレのモノがビクンと跳ねる。
正直オレだって入れたくてしょうがない。
それでもセスの細い身体にオレのモノが入るのかどうしても心配になってしまう。

「ムリだったらすぐに言えよ」
「はい」

念押しの言葉には、拍子抜けするほど素直な返事が返ってきた。
顔を見れば分かる。
どんなにムリだと思っても絶対言う気が無いな。

「いいか、オレはお前にツライ思いをさせてまで繋がりたいわけじゃないんだ」
「アラゴさん…あなたの優しいところは好きですが、雰囲気ぶち壊すのもいい加減にしてください」

少し苛立ちの含まれた声に、自分がまたやらかしてしまったことに気づく。

「…悪かった」

謝罪の意を込めてセスを抱きしめると、返されたのはこれ以上ないくらいの殺し文句だった。


「繋がりたいと思っているのはあなただけじゃない。自覚してください」