「うぁっ…ああ…セス、も…またオレ、イく…っ!」
「――どうぞ」

ベッドに這い蹲るような体勢で刑事さんが道具に犯されている。
突き刺さったバイブを動かすと悲鳴のような声を上げて刑事さんは何度目になるか分からない精を放った。
吐き出された液体がポタポタとシーツに落ちる。
力が抜けて身体を支えきれなくなったのか刑事さんはベッドに崩れ込んだ。
ぐったりとした様子に、更に追い討ちをかけるためバイブの振動を一番強くする。

「ああぁあぁっ!?」

刑事さんの身体が面白いほど跳ね上がった。
しわくちゃになったシーツを必死に握り締めている姿に思わず笑みが零れる。

「そろそろイヤになってきたんじゃありませんか?」

返事をしやすいようにスイッチを少し弱めて尋ねた。
無防備な背中に覆いかぶさり、耳元で囁く。

「恋人なんかになったら、コレよりもっと酷いことをされるんですよ?」
「イヤになんて…なって、ない…」
「そうですか」
「それより、セス…オレを抱くんじゃ…なかった、のか…?」

刑事さんが首を動かし、僕を見上げる。
目が合うと込められた熱のせいで、刑事さんの求めているものが嫌でも分かってしまった。

「こんな、オモチャ…より、お前のが…欲しい…」
「……あぁ、そうですか。ではお望み通りにしてあげます」

動いたままのバイブをわざと乱暴に引き抜いた。

「うっ…!」
「すっかり拡がってますね」
「あ、あぁ…っ」

指を入れて中を無造作に弄る。
こんな扱いをされてなお、刑事さんの顔には僕を拒絶するような色は無い。
いい加減にしてほしい。
僕は早く『やっぱりね』と失望したいのに。

「いきますよ」
「――うん」

後ろから腰を掴むと刑事さんは嬉しそうな声で頷いた。
どうしてそこまで僕に固執するのか
期待なんてしたくないのに。

「うぁあっ!」

トロトロに解れた場所に一気に押し込んだ。

「ひゃ…!ああっ…!あ、うあっ…!セ、ス…!」
「…何ですか?ギブアップ?」

腰を動かす度に上がる喘ぎ声。
その合間に名前を呼ばれ、動きを緩めた。
刑事さんの言葉を待つ。

「ちげ…今、セスのが…オレに入ってて」
「えぇ」
「それって…オレ相手に、ちゃんと、興奮したってことだよな…嬉しい」

本心からそう告げられ言葉をなくす。
どう返せばいいのか分からず、無言のままを突き上げるペースを上げた。
同時に前からも刑事さんのモノを攻めたてる。

「んんっ…!は、そこ、は…っ!」

今まで後ろからの刺激ばかりだったためか刑事さんはあっという間に限界まで追い詰められていった。
絶頂を向かえた瞬間に強く締め付けられ、その衝撃で僕も刑事さんの中に放つ。
刑事さんは最後に小さく僕の名前を呟き、そのまま気を失った。




目を覚ますと刑事さんが僕を覗き込んでいた。
肌が触れないギリギリの距離。

「大丈夫か……?」

向けられた第一声に呆れかえる。
そこで僕を気遣うのか。
自分の身体の心配の方が先だろうに。
刑事さんがそんなふうだから、僕が代わりに気にしないといけないんじゃないか。
なんて腹立たしい。

「……はい。刑事さんの方こそ」
「オレは平気」

刑事さんは何かを言い出そうとすることもなく、ただ穏やかに僕を見ている。
沈黙に耐え切れず僕のほうから口を開いた。

「……昼間の約束の件ですが」
「ん?あぁ。無理しねぇでいいから。お前がオレの気持ちを信じてくれるまで、いくらでも試してくれ」

まるで気にしてないような返事をされ最後の壁が崩れるのを感る。
結局この人には勝てない。

「……少しだけ、あなたを信じてみようと思います」

僕の言葉に刑事さんの顔が見たことないほど優しく綻んだ。
刑事さんの手が伸ばされ僕の髪を撫でる。
つられて僕の頬も緩んだ。

「これからよろしくお願いします」