突然の通り雨に降られ全身ずぶ濡れになった。
出かける時の天気は見事な快晴。
ニュースに雨の予報もなかったたためもちろん傘なんて持っておらず、頭のてっぺんから靴の中までぐしょぐしょだ。
配送にしておいた荷物だけは無事なのがせめてもの救いだ。

「降られたなぁー」
「いきなりだったな」

走りながら玄関をくぐるとやっと一息つき、雨避けにと入れてもらっていたオズのジャケットから体を出した。

「ありがとう、助かった」
「いやいや。結局びしょ濡れだし。意味なかったな」
「直接打たれるかどうかで大分ちがうさ。あの雨は既に『痛い』のレベルだ」
「確かに!」

ここまで濡れてしまうと諦めもつくもので、お互い妙に落ち着いたまま会話が続く。
バスルームまでの被害をできるだけ減らすため、水を吸って面白いほどに色を変えたマットの上で上着を脱ぎシャツのボタンを外す。
Tシャツとジーンズという軽装だったオズは手早く上半身だけ服を脱ぐとオレより先に動き出していた。

「ほいタオル」
「ん、ありがとう」

受け取って顔を拭く。乾いた布が気持ちいい。
何気なくオズの方を見やると、解いた髪から滴る水が妙に色気を醸し出していた。
視線を下げると均整のとれた筋肉が惜しげもなくさらされている。

――触りたい。

見つめるオレに気づいたオズがニヤッと笑った。

「イイ体だろ?なぁに見蕩れちゃった?」
「ああ、イイ体だ。もっと見たい。全部脱げよ」

水気を拭いたばかりでしっとりと吸いつくような肌。
胸板を撫でるとオズがくすぐったそうに身をよじった。

「積極的なことで」
「オズがきちんと髪を拭かないから」
「そこ?」
「他にも色々」

むしろお前の全部。
手を伸ばしてオズの頭を引き寄せ唇を奪う。
軽く舌をつつくとその気になったようで楽しそうに絡め返してきた。

「じゃあ風邪引く前にシャワーに行きますか」
「のぼせる時は一緒だから」
「せめてあがってからにしようぜ」
「ムリ。我慢できない」
「ハイハイ」