試験勉強(学パロ・アラセス)
学校からの帰り道。
テスト前ということで部活は禁止。
ユアンはオズと二人で生徒会室に籠ってしまったので、オレは誘われるままセスの家に向っていた。
「今日はあのお二人と勉強しなくていいんですか?」
「あー…今日は、な」
「アラゴさん用の特別ノートを作るため?」
「何で知ってんだよ!?」
「ふふ。ユアンさんからメールを頂いたので。遊ばないように見張っててほしいって」
「ガキじゃねぇっての…!」
「心配してるんですよ。それから僕の勉強に付き合うのも良い復習になるだろうから分からないところは遠慮なくアラゴさんに訊くように、だそうです」
セスがオレにメールを見せてくる。
どうせあいつらだって今頃二人で遊んでるくせに。
「だから今日はお前の家なのか」
「ええ。アラゴさん、図書館で集中できるタイプじゃないでしょう?ファミレスなんかでも同じだと思いまして」
「まあな」
静かにしてようとは思ってても、詰まったらオズかユアンに教えてもらわないと進められないし。
ひそひそ話すのって苦手なんだよなぁ。
ファミレスは逆にざわざわしてて気が散るし。
「だったらどちらかの家のほうが落ちついてやれるかなと思いまして」
「確かに」
「でも流石にいきなりアラゴさんのお家にお邪魔したいとお願いするわけにもいきませんから」
そんなことない。
お前だったらいつでも来ていい。
そうと言おうとした瞬間ポケットが震えた。
誰だよ、タイミングの悪い奴だな。
マナーモードで鳴り続けるケータイを取り出すとメールが一通。
差出人はオズだった。
ユアンと一緒にいるんじゃねぇのか。
ユアンを放っておくんじゃねぇよ。
『ちょっとした息抜きプレゼント
悪魔くんと仲良くな☆
でも今日はちゅーくらいまでにしとけ』
反射的にケータイを閉じた。
勢いが強すぎて思った以上に大きな音が鳴り、自分でやったことなのに驚く。
セスが不思議そうにオレを見た。
「アラゴさん、どうしたんですか?」
「いっ、いや、何でもない!」
「……あの男が余計なことを言ってきたんですね?」
「何でオズからだって…!?」
そんなに分かりやすいのかオレ!?
それともまさか中身が見えてたとか!?
セスが呆れたように溜息を吐く。
「ただの引っかけです。…まあ八割以上はそうだと思ってましたけど」
アラゴさんをそこまで動揺させる相手なんてそんなにいませんからと言ってセスが足を止めた。
目の前には見慣れたマンションのドア。セスの家。
カギを開けて中に入るセスに続く。
ワンルームの部屋はセスらしくきちんと片づけられている。
「そこにどうぞ」
クッションを指され、鞄を置いてから座った。
テーブルの角を挟んでセスがオレの斜め向かいに腰を下ろす。
「で、何て書いてあったんですか?」
「な…!!」
「あれだけ顔を真っ赤にしておいて気にならない訳がないでしょう」
「いや!いやな!!ええと!」
「……僕には言えないことですか?」
「違ぇ!」
思わず身を乗り出して叫ぶと、セスと顏がものすごく近くなった。
顏、というか唇と。
一度意識しちしまうと頭がパンクしそうだ。
いっぱいいっぱいになったオレは結局大人しく座り直すしかできなかった。
セスが何も言わないっていうのはオレの続きを待ってるってことだよな。
「違ぇ…。その…今日は、ちゅーだけに、しとけって」
「あの男が?」
セスの問いかけに頷いて答える。
呆れてるんだろうな。
そんなつもりで誘われたんじゃないことは分かってるんだ。
恥ずかしさに頭を抱えたくなっていると、セスが床に手をついてオレの横に移動してきた。
「一応ある程度は先に勉強してからと思っていたんですが」
「おい、今日は」
「大丈夫です。ちゅー以上のことは全部僕からしますから」
「そういう意味じゃなくて」
「もちろん終わったら、ちゃんと勉強もしましょうね」
セスはにっこりと笑いながらオレの足の上に体を乗せて唇を合わせてきた。
一日くらい良いかと思ってしまった。オレの負けだ。
帰ったらユアンに怒られるんだろうなと考えながら、オレはセスを抱きしめ返した。
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