名古屋オフ幸せオズユア続き(病室でイチャイチャ)



ヘリに戻るとオズは気を失うように眠りに落ちた。
いつ倒れてもおかしくないような体にかなりの無理をさせたのだから当然の結果とも言える。
病院の屋上にヘリが降りると一番にアラゴが駆け寄ってきてどれだけ心配したかと泣きつかれた。
ある意味予想通りだが、ただただ申し訳ない。
それからしばらくの間外出禁止を言い渡され、二人そろって部屋を移された。
食事が運ばれてくるのは以前からだが、トイレとバスルームも付いている廊下の突き当たりの部屋は病室というよりホテルに近い内装だ。
破格の扱いだが、そのかわりドアにはセンサーが付いていて開閉の度にチェックされている。
アラゴからはやりすぎじゃねぇのと言われたが、それだけのことをしてしまった自覚もあるので甘んじて受け入れた。
回復を待つだけに費やされる時間。
一人であれば退屈極まりなかっただろうが、隙間が無いようにベッドを繋げ、オズと二人で過ごす時はとても穏やかなものだった。

「オズはスキンシップ好きだよな」
「好きだな。ってか好きなやつに触るのが好き」
「ああ、それはオレも好きだ」

オズは二日間丸まる寝込んでようやく目を覚ました。
その日に好きだと告げられ、今は特別な関係になっている。
じゃれるように髪に絡んでくる指の感触が心地よい。

「こっち向いて」

言われた通りにすると、オズの手が頭の後ろに回される。
そっと力が籠められ顏を引き寄せられた。
戯れの始まりのような軽いキスではなく、舌を絡める深いキス。
こっそり目を開けるとオズが気持ちよさそうに目元を蕩けさせていた。
この表情をさせているのが自分だと思うとなんだかくすぐったく、一層愛しさが溢れてくる。
唇を離すとオズが悪友の悪戯を見つけた時のように耳元で囁いてきた。

「……お前、最中に笑ってただろ」
「分かったか」
「何考えてたんだ?」
「オズの顔見たら、そんな気分になった」
「なんだソレ。ズルいな」

もう一度と迫られ、今度は目を開けたままオズが顔を近づけてくる。
キスしたまま見つめ合うというのも何だか新鮮で、しばらくそのまま目を合わせていたが、次第にキスに集中したくなって瞼を閉じた。
咥内に入り込んだ熱を無心に追いかけているとオズの唇の端が上がったのを感じる。

「……はぁっ…」
「なるほど。そそられるな」

息継ぎのタイミングを奪われ少し酸欠になりかけたところで解放された。
最後に下唇を軽く噛まれ、ぞくりとする。
満足そうなオズの声。

「…そろそろアラゴたちが見舞いに来る時間なんだが」
「夜までお預け?」
「お預け」
「残念」

時計を示すとオズはあっさりと引き、替わりのように上半身だけ曲げてオレの腹の方に倒れこんできた。
ちょうど膝枕のような感じだ。
それから体を捻じらせて仰向けになると急に眉間に皺を寄せる。

「あ、ダメだ。この姿勢は傷に響く」
「バカ」

もぞもぞと体を動かしたオズは結局そのまま完全にベッドに潜り込んだ。
服の裾を引かれオレも横になろうしたところで、テーブルに置いてあった携帯電話が鳴る。
アラゴから絶対に無断で外出するな。でも出かけるならせめてコレを持って行けと話の矛盾を押し切って渡されたものだ。
病院の許可も出ており、この部屋の中だけなら使用も問題無いらしい。
本当にもう勝手に出かけたりしないんだけどな。
画面を見るとメールが一通。
伺うように見上げてくるオズに聞こえるよう中身を読みあげた。

「アラゴから。”ごめん、セスが動けないから今日は行けない”だそうだ」
「ふーん、あいつ等やっとくっついたのか」

オレとオズが無断外出から戻ってきて以降、明らかに雰囲気の変わった二人を思い浮かべる。
あのじれったい程のお互いの想いが通じたのであれば、それ以上のことはない。

「だといいな」

アラゴからは何も聞いていないが、そのうち話してくれるだろう。
携帯を元の場所に戻し、オレもベッドに体を沈める。オズがすぐに寄ってきた。
頬を撫でると嬉しそうに手を重ねられる。

「セス君はいい子だなぁ」
「いや、ユアン、それは何か誤解してるから」

アラゴの変化が嬉しく、それをもたらしてくれたセス君の存在がありがたい。
思わず感慨にふけると、正面から妙に真面目な顏で否定された。

「あいつ悪魔くんだから。オレだいぶ痛い目に遭わされたし、悪いヤツじゃないけどイイコって言うと、また何か」
「事情があったんだろ?オレにとってはアラゴの傍にいてくれるだけで十分いい子だ」
「ブラコン。妬くぞ。あと、そういうことならオレもあの戦いのときは結構アラゴの側にいたんだけど?」
「あぁ、オズもいい子。でも今は違うだろ?」

隣は誰か。
オレが言いたいことを理解し、オズは拗ねた表情を一転させる

「…それもそうか。だったら今の、『良いオトコ』も付け加えてくれると嬉しいんだけど」
「それはこれからのオズ次第だな」

言いながらオズの首元に唇を寄せる。強めに吸って痕を残した。
オズが小さく声を漏らし、挑発するような笑みが返される。

「了解」