見上げるとセスがオレの腹の上でうっとりとした表情を浮かべている。
膝をベッドにつき腰を少し浮かせて自分で解す姿から目を逸らすことができない。
指の動きから陰になって見えない部分を想像させられ、無意識に唾液を呑み込んだ。
気まぐれに緩やかな手つきで布越しに刺激を与えられ、解放されない熱だけがただ高まっていく。
頭がおかしくなりそうだ。

「セス…セス、もうやだ…っ」

何度目かの戯れに、オレは呆気ないほど早く根をあげた。
思った以上に弱々しく響いた声にセスが笑みを深くする。

「もっと、あなたの乱れたところが見たいです」

本来の使い道なんてとっくに果たさなくなった布きれに手が伸ばされ、ゆっくりと結び目が解かれた。
焦らすようにまずは片方だけ。
押さえつけから解放されたオレのモノは、これ以上ないくらい上向きに起ちあがっていた。
セスがわざとらしく舌を出して根元から舐めあげる。

「そんな物欲しそうな顔しないでください」
「ンな顏――」
「今あげますから」

声だけは優しいのが忌々しかったが反論する間もなかった。
宣言通り、柔らかく解されたセスの中にオレのモノが呑みこまれていく。
熱と締めつけに震えるほどの快感がもたらされた。

「んっ…」

あれだけ解していても苦しいのか、セスが腰を下ろしながら一瞬眉を寄せる。
今までのいっそ傲慢なほどの態度と対称的な表情が欲を煽る。

「ねぇ刑事さん。わかりますか？」

繋がっている部分を指でぐるりとなぞられた。
楽しそうな声音。
予想もしていなかった刺激に危うく放ちそうになるのをなんとかやり過ごす。

「ほら全部入ってます」
「うっ…」
「っ…大きくなりましたね。コレ気持ちいいんですか？」
「んうっ…は、あ…うあっ…！」

オレの反応が面白いのか、その行為を何度も繰り返された。
足りない。
これじゃ足りない。

「セスっ…！」
「はい。なんですか？」
「もう、この手の、外してくれ…！」

全然足りない。
この満たされない感じ。

「ダメですよ」
「じゃあ、お前からキスしろ…！」
「なっ！」

セスが驚きの声をあげた途端、急に拘束が解けた。
この上ないタイミングで生まれた隙にすぐさま上体を起こし、セスを抱きしめて唇を合わせる。
そう、これが足りなかったんだ。
限界まで来ていた飢えを満たすようにありったけ貪った。
セスに胸を叩かれて息継ぎを忘れていたことに気付く。

「……わり」
「はぁっ…刑事、さん…約束がンんっ」

セスの抗議。
約束？
ああ、そうだな、約束。
それよりもう一度。

「ん―っ…！」

今度は咥内をじっくり味わう。
セスの目の端に涙が浮いてきたことに気付き唇を離した。
もったいないと思って舐めるとセスの肩が小さく跳ねる。
かわいい。
向かい合っている状態から繋がったままセスを押し倒した。

「っ…！」

布越しはもういい。
残っていた片方の結び目の紐を外すと、引っ掛かっているだけの状態になっていた布がベッドに落ちた。
覆いかぶさるような体勢で腰を動かす。
しがみついてきたセスが突かれる度に高い声を上げる。

「刑事さん…、刑事さん…！僕、も…っ！」
「オレも、とっくに限界だ」

セスが熱を宙に放つと、一気に中が締め付けられる。
今までで一番大きく膨れ上がった解放への欲求に抗うことなくオレもセスの中に放った。

「どうでした？刑事さん、偶にはこういう趣向もいいでしょう？」
「……あんな恥ずかしい思いは二度とゴメンだ」
「じゃあ訊き方を変えます。――今日、ヨかったですよね？」
「…………悪くはなかった」
「何よりです。次も楽しみにしててください」