夏祭り(学パロ)続き/オズユア



歩くにつれて段々と人通りが減りざわめきも小さくなる。
最後の一軒のところまで来ると、先にはぽつぽつと道を照らす程度の明かりがあるだけで、妙な寂しさを覚えた。
目的の場所はさらに奥だと聞いている。

「じゃ、行くか」
「まだアラゴとセス君が来てないぞ」

足を止めたのも一瞬で、躊躇いなく先に進もうとするオズを慌てて止める。
時間を確認すると、逸れたときにと決めたリミットにはまだ早い。
アラゴとセス君が追いついて来るまでもう少し待てるはずだ。

「んー…実はお前らが来る前に悪魔くんとは話がつけてあったりして?」
「お前はまた勝手なことを…!」

こっからは別行動と悪戯っぽく告げるオズに頭を抱えたくなった。
オズが少し屈んで耳元に顔を寄せてくる。

「オレがユアンと二人きりになりたかったんだよ。許してくれるだろ?」
「…その理由と言い方はずるくないか?」

結局許してしまうオレもオレなんだろうけれど。
漏れた溜息を誤解することなく承諾と受け取るとオズはオレの手をとって歩き出した。

「こっち」

手を引かれて薄暗い闇の中を進む。
けもの道すらない木々の間を抜けていくと、オズの案内が無ければ帰ることができないだろうなと思った。
逸れては堪らないと手を握る力を強くする。

「なぁ、浴衣で外でってのもなかなか燃えるシチュエーションだと思わねぇ?」
「サカるな。…お前そういうのが好きなんだっけ?」
「”が”っていうか”も”。オレ、ユアン相手だといつでも発情してるようなもんだから」

繋いだままの手を引き寄せられて、手の甲を舐められる。
冗談のように言いながらどこまでも本気の目。
指先に軽く口付けられてぞくりとする。

「…花火が終わったらたっぷり相手してやるから少しくらい我慢しろ」
「約束な」

それほど歩くことなく開けたところに辿り着くと、オズが到着と宣言した。
用意していたレジャーシートを地面に引き腰を下ろす。
丁度最初の一発目が打ち上げられた。
一気に空が明るくなり色とりどりの光が空を飾った。
重い破裂音が心地よい刺激となって届く。
オズがとっておきと言うだけあって、そこから見る花火は見事なものだった。
時間を忘れて見蕩れていると、急に無数の花火が競うように打ち上げられる。
その華やかな場面が過ぎると逆に大輪の花が一つずつ姿を披露する。
そして今までで一番大きな輪が広がると、唐突に闇と静寂に包まれた。

「……終わり?」
「終わりだな」

オズが腕時計を見て答える。
人混みの中で見ていればまた違っていただろうが、ここではあっけないほどの終わりと、先程までの落差に少し現実感が狂うほどだ。

「……そうか」
「良かっただろ?」
「ああ、良かった」

自慢げに訊いてくるオズの気持ちもわかる。本当に素晴らしかった。
連れてきてくれてありがとうとお礼を言うためにオズの方に向き直ろうとしたところで、何の前触れもなくシートに押し倒される。
オレを見降ろすオズの顏が視界に広がった。

「花火が終わったら、だったよな?」





仰向けに押し倒された状態で正面を見上げる。
星が綺麗だ。
花火の反動で感じていた圧倒的な静けさが和らぎ、風の音と虫の鳴き声が耳に戻ってくる。

「はいはい、お待たせ」

オズの背中に腕を回し抱き寄せると、応えるようにキスが降りてきた。
浴衣の合わせから手を差し入れられる。
汗ばんだ肌が吸い付くように感じた。

「背中、痛いだろ。ごめん」

下に石があるのが気になって少し身体をずらすと、目敏く見つかり抱き起こされた。
足を大きく開かされ、あぐらをかいたオズの上に乗せられる。

「いいって。重いだろ」
「大丈夫。抱き付く感じで体重あずけて」

優しくオレの頭を押さえつけ、背骨を辿りながらオズの手が下りていく。
一番下まで来るとそのまま後ろの穴に指が入れられた。
気まぐれのように胸や首筋を舐められる。
常に全身でオズの体温を感じているせいか、いつもより過敏に反応してしまう。

「んっ…!」
「こういうのも、結構イイだろ」

身体が密着しているせいで、起ち上がったオレのモノがオズの腹に擦れる。
中の感じるところを容赦なく弄りながらオズが言った。
オズに寄りかかる体勢をとらされているせいで自然と耳元で囁かれる形になる。
指が二本に増やされた。

「うぁっ…」
「……きつい?」
「いや、大、丈夫…」
「わりぃ」
「大丈夫だ…って言ってる…だろ」
「でも」
「もう、一本…増やしても…大丈夫な、くらいだ」

心配そうに謝るオズの言葉を首を振って否定する。
そんな気の使われ方はされたくない。
オレが嫌々応じてるとでも思ってるのか。
伺うような沈黙の後、無言でさらに指が増やされた。
圧迫感に耐え切れず、思わずオズにしがみつく。

「あぁっ!」
「ほんと、トロトロ…」

オズが熱の篭った声で指を動かす。
一度根元まで押し込むとそのまま真っ直ぐ抜かれた。
急に刺激が無くなった理由がわからず、預けていた身体を起こしオズを見る。
計ったようなタイミングで両手で身体を持ち上げられ、オズの昂ぶりの上に落とされた。

「――っあぁああっ!!」

涙が出そうなほど深いところまで突き刺さり、一瞬意識が飛びかける。
衝撃を逃がす余裕もなくオズが腰を動かす。

「あっ…や…オ、ズっ…奥…!」
「…ん、もっと、奥な」

何度も何度も激しく突き上げられ、ただ喘ぐことしかできない。
頭が快感だけでいっぱいになる。

「…オズっ…も…イく…!」
「…ああ、オレも…ユアン」

オズの動きが速くなり、名前を呼ばれながら一際強く捩じ込まれた。
同時に、逃がさないとばかりに身体を抱え込まれ、限界までオズのモノを咥え込む。
中に吐き出される熱を感じながら、オレもオズに向かって精を放った。