BO:X
【サイラッシュと会った後、グラルダーと会う前】
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バンパイヤとバンパニーズの和平を行う。
理想を隠そうともしないカーダを非難する声は少なくなかったけど、
もともとそんなことに興味のないバンパイヤたちは、良くも悪くもカーダを変わり者としてしか見ていないものがほとんどだった。
「カーダ。新しい地図です。」
「ありがとう、サイラッシュ。」
バンパニーズとの和平を成立させるために駆け回っているカーダは、実は少なくとも半年に一回はバンパイヤマウンテンも足を運んでいた。
理由はもちろん情報を集めるためで、『あの街でバンパニーズと会った』『この森でバンパニーズと戦った』なんて話をカーダは熱心に聞きまわっていた。
サイラッシュはそうやってカーダがマウンテンで聞いた話と、彼自身が各地の町を飛び回って集めた情報を元に一枚の地図を作ってくれ、僕とカーダはそれを基に次の行き先を決めていた。
「こことここは情報が古くなり過ぎましたから出向いても無駄でしょう。ここが一番新しい情報です。
日付と経過日数を考えて今彼らがいると考えられるのがこの範囲、あなた達が着くころにはこの範囲の中にはいると思われるでしょう」
サイラッシュお手製の地図にはバンパニーズが目撃された場所と日付が書き込んであり印を中心にして円く色が付けある。
「・・・ってコレはあまりに広すぎないか?」
「文句があるなら地図くらい自分で作ってください」
「時間が許すならもちろんやりたいんだがなぁ…」
【ダレン×カーダ:腐注意】
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ようやく気づいた。
なんてことだ。
僕は。
カーダのことが好きになっていたんだ。
好きだと告げるとカーダは笑った。
「うれしいよダレン。」
そして僕の頭を撫でながら続けた。
「でもそれは憧れってやつだ。ダレンはまだ若いから、勘違いしてしまったんだな。」
違うのに。
僕だって女の子を好きになったことぐらいある。
デビーというかわいい恋人がいたこともある。
彼女のことを忘れてしまったかというともちろんそんなわけじゃない。
でも、今、僕はカーダのことが好きなんだ。
もどかしく思うほど、いっそう言葉は伝わらなくて、ついには何も言えなくなってしまった。
「一晩ゆっくり考えてみるといい。」
おやすみ、と残してカーダが部屋を去る。
僕は眠ることもできず、泣くこともできず、追いかけることできず、怒ることもできず。
ただ一人で部屋に残っていた
【ラストif1.エバンナがいる】
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「まぁだがしかし君に対して裏から働きかけると色々とよろしくない結果になるのでな。こうしてわざわざ直接お願いに参ったわけだよ。」
「まぁ。そんな重要人物になった覚えはありませんけど?」
「言いおるわ」
「率直に言わせてもらうが、この舞台から下りてもらえんかね?」
「あなたが僕のお願いを聞いてくれるならいいですよ」
「内容次第だ」
「簡単なことです。僕が暇を潰すために一冊本を書いて下さい。あなたの牢獄につながれている間に読むためのね。
文学と名の付くものが全く不得手なあなたには少し難しい条件かもしれませんね」
「エバンナ、お前か」
「そうかもしれないし、そうでないかも知れません。少なくとも、『今ここに存在している私』ではないですからね」
「一冊でいいんだな?」
「ええ。ただし内容は僕が決めさせて貰いますよ。正直あなたの書いたラブロマンスなんて読む気が起きません。
それから約束破ったら二度とバンパイアに連なるものに手も口もちょっかいも出さないで下さい」
「いいだろう」
「約束ですか?」
「約束だ」
「エバンナ?」
「成立したねぇ。万が一にでも破ったらお父様でも手痛いペナルティを食らう」
「それではお題を。僕が読みたい物語は只一つ。ミスタータイニーから干渉を受けなかった場合、
バンパイアとバンパニーズがどのように和解を果たすのかというノンフィクションです」
【ラストif2.スティーブルート】
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「ほう、ゲームとは。いささか『らしく』ない趣向ではないかね?シャン君よ」
「たまにはいいでしょう。あなたに付き合ってあげます」
投げたコインがまっすぐ宙を上る。全ての視線がそこに集まり――
「―!?」
次の光景を一言で表すのならミスター・タイニーから剣が生えたということになる。
「卑怯者の謗りは甘んじて受けよう。それでも。あの未来だけは、死んでもゴメンだ」
「ス…ティーブ…レナー…ド!」
「あんたの息子が死んだとき言っただろう?撃たれれば死ぬと。ならあんたもそうなんだろう?刺されれば、死んでくれるんだよな?」
留まることなく血が伝う剣をタイニーの体から無造作に引き抜き、スティーブが曖昧に笑う。
「お疲れ、ダレン」
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