ボランティアの時間が終わり軽食堂を出る。
宣言通り入り口のすぐ横で刑事さんが待っていた。
腕を組み壁にもたれかかっている姿はいつもと変わらないように見える。

「お待たせしました。……逃げても良かったんですよ」
「んなわけねぇだろ」
「そうですか。では、僕の家にお招きするつもりはありませんから刑事さんの家に向いましょう」
「わかった」

帰り道の途中では何のハプニングも無かった。
拍子抜けするぐらいに何も起こらず、ただまっすぐに刑事さんの家に着いてしまった。
こういう時こそ老刑事や幼馴染という婦警の出番じゃないのか。
いつかの時みたいに邪魔してくれれば良かったのに。
違う。今日で面倒事が一つ片付くのだから邪魔なんていらない。
それなのにどうして僕はこんなに苛立っているんだ。
鍵を開けた刑事さんの後を追い、部屋の中に入る。
刑事さんは上着を脱いで荷物を置くと僕の方を見た。

「コーヒーでも飲むか?」
「いえ、結構です。目的を早く果たしましょう」

率直な僕の言葉に刑事さんの動きが止まる。
怯えてるのだとしたら少しは可愛気があるのに。
普段あんなに分かりやすいと思っていた刑事さんの思考が今は全く分からない。
それがひどく気に入らない。

「ん。お前がそうしたいなら」
「無理だと思ったらいつでも言ってくださいね」
「大丈夫」

出来るだけ早くギブアップしてほしいと願いながら刑事さんに告げた。
無駄に長くなるのも煩わしい。
ベルトを外してズボンのファスナーを下げてからベッドに腰掛ける。

「舐めてください」

刑事さんは一言の反論もせず僕の前に膝を着いた。
ゆっくりと両手が伸ばされる。
ズボン越しに触れられただけで体が跳ね上がりそうになり必死に抑えた。
刑事さんの顏が近づいてくる。

「――ストップ」

唇が触れる直前で止めた。

「ブリューナクの事を失念していました」

刑事さんが弾かれたように顔をあげる。
この様子だと刑事さん自身も忘れていたんだろうな。

「てっとり早くどちらかが怪我をしましょう。刑事さん、選んでください。自分が痛いのと僕が痛いの、どちらがいいですか?」
「決まってる。オレだ」
「そう言うと思いました」

迷わず言い切った刑事さんがあまりに予想通りでいっそ愉快ですらある。
刑事さんに向って頷き、僕はオルクの力を使って自分の腕に傷をつけた。

「セス!?」
「嫌がらせですよ。バカですねぇ、刑事さんの希望通りにするわけがないじゃないですか」

痛みには慣れているけど血が皮膚を伝う感触はやはり気持ちの良いものではないな。
取り乱す刑事さんの様子が僕を少し安心させた。
そう。この人はこんな風に僕に振り回されていればいい。

「さあ、治る前に早くやってください」

促されると刑事さんは苦々しそうに行為を再開した。
僕のモノがぬるぬるとした感触に包まれる。
肉体的な快感が生まれる。

「そうです…上手ですよ…」

慣れないたどたどしい動き。
だけど刑事さんの口から僕のモノが出入りしているという光景そのものが僕を昂らせた。
気まぐれに褒めてみると更に熱心に舌が絡められる。

「刑事さん、歯立てないでくださいね」
「――ッ!」

返事を待たず刑事さんの頭を掴みわざと乱暴に動かした。
苦しさに刑事さんの目尻に涙が浮かぶのを確認し、そのまま咥内に放つ。

「ちゃんと飲んでくださいね」
「…っはぁ…はぁっ…」

咥えさせていたモノを引き抜くと、刑事さんは一段落したと判断したのか咳き込みながら息を整え始めた。
気が緩んだ刑事さんの胸を僕は足で軽く押す。
全く無防備な状態だった刑事さんは簡単にバランスを崩し床に倒れこんだ。

「まだ続けますか?」

刑事さんは僕を見上げたまま頷いた。
いきなり蹴り飛ばされた驚きはあっても、そこに怒りや憎しみは全く感じられない。
アレでもまだダメなのか。
心臓の位置にあった足を太腿の付け根まで滑らせる。
中心を踏むと刑事さんが小さく叫んだ。

「うぁッ!」

体重は全くかけていないから単に驚きによるものだろう
ぐりぐりと動かしながら尋ねると刑事さんは耳まで真っ赤にして顔を逸らした。
足の裏に感じる確かな反応。

「硬くしてるんですか?こういう趣味があるとは意外でした」

僕を好き?
信じられるわけがない。
信じたくなんてない。
だってどうせ、いつかいなくなるくせに。

「では続けましょう。服くらい自分で脱げますよね?」

この人はいつ音をあげるだろうか。

「優しくしてあげます。特別に」