オズさんが心底幸せなオズユア



side E

辛く長い夢をみていた。
醒ましてくれたのは双子の弟と温かい目をした男。

「ユアン!!」
「アラゴ…?」
「良かった…!オレ…オレ、ほんとに…良かった…!」

泣きじゃくる弟の代わりに男が事情を説明してくれた。
パッチマンと再会して以降の凄まじい話。
よくこいつもオレも生きてたものだ。
たくさんの幸運と、仲間と呼べる存在と、なによりこの男がアラゴを護ってくれたからこそ、今があるのだろう。

「お前さんがアラゴの兄貴か」
「双子の、ですけど。ユアンです」
「オズウェル・ミラーだ」
「ミラーさん?」
「オズでいい。敬語もいらない」
「わかった。オズ」
「ん?」

教えてもらったばかりの名前を、確認ではなく呼びかけとして音にする。
オレに意識が向いたのがなんとなく嬉しくて自然と頬が緩んだ。

「アラゴとオレを、助けてくれてありがとう」

オズの目が驚いたように目を大きく開かれた。
一瞬、悪いこと言ってしまったかと不安になったが、口にしかけた謝罪の言葉を止めるようにゆっくりと彼の顏がほころぶ。

「どういたしまして」

それがオズとの出会いだった。






失った右腕は戻らないが、既に専門家に良い義手の作成を依頼してあると言われた。
内臓も日常生活を送るのに支障が無い程度には既にフォローがしてあるそうだ。
何から何までありがたい。
あとは落ちた筋肉を戻すだけだが、これがなかなか大変で、最初は少し歩いただけでも息が切れていた。

「焦るなよ」
「わかってる、と言いたいところだけど、どうしても調節が難しくてな。オーバーワークだと思ったらオズが止めてくれ」

過去に何度も同僚に言ったことがある言葉だが、言われる立場になってみるとこれが実行できない。
気持ちが先走ってつい無理をしてしまう。
けれどそんな愚痴みたいなことこと言われたって困るだけだろう。
差し出された水を一気に流し込み、軽口で応えた。

「はあ?オレにずっと見張ってろってことか?」
「冗談だよ」
「いいさ。オレも今は仕事全部取り上げられててな。ヒマだから付き合ってやる」

オズは自分のことを元女王陛下直属の秘密部隊だと言っていた。
最後の任務を終えた今は立場が浮いた状態になっているとも。
だからこそ、実際には現場で担当の枠を越えて街の復興のために動き回っているのを知っている。
そんなオズがヒマなわけない。

「そいつはありがたい」

暗に気にするなと伝えたつもりだったのに快諾され戸惑う。
それから何故かオズは時間の許す限りオレの側にいてくれるようになった。